コラム - よくあるトラブル
モーターのよくあるトラブルとその対策方法は?
今回はモーターのよくあるトラブルとその対策・オーバーホール・メンテナンス方法についてまとめました!
目次 |
1. 振動不良 |
2. 異音・騒音がする |
3. ブラシの摩耗が早い |
4. モーターが発熱する |
5. 回転のムラが大きい |
6. 回転が高い |
7. 回転が遅い |
8. モーターが回転しない |
モーターのよくあるトラブルには、主に以下の種類があります。
1. 振動不良
2. 異音・騒音がする
3. ブラシの摩耗が早い
4. モーターが発熱する
5. 回転のムラが大きい
6. 回転が高い
7. 回転が遅い
8. モーターが回転しない
また、それぞれのトラブルに対する要因と対策は以下の図のようにまとめられます。
トラブル | 要 因 | 対 策 | |
振動不良 | コントローラ不良 | コントローラ再調整 | コントローラ再調整・交換 |
軸受(ベアリング)不良 | 軸受(ベアリング)の劣化摩耗によるガタツキ | 軸受(ベアリング)交換 | |
軸受(ベアリング)に傷など異常が発生 | 軸受(ベアリング)交換 | ||
ブラケットケーシング不良 | 軸受(ベアリング)嵌めあい部の摩耗 | ケーシング加工修理(ブッシュ加工、溶射加工) | |
ブラケット新品交換 | |||
回転子バランス不良 | バランス不良 | バランス再調整 | |
回転子軸不良 | ベアリング嵌めあい部の摩耗 | 軸加工修理(溶射加工) | |
軸交換(交換可能による※要確認) | |||
異音・騒音がする | ブラシ・整流子不良 | ブラシ材質選定ミス | ブラシ材質交換 |
整流子荒損 | 整流子削正 | ||
軸受(ベアリング)不良 | 軸受(ベアリング) 焼き付き | 軸受(ベアリング)交換 | |
ボール表面の傷 | 軸受(ベアリング)交換 | ||
潤滑不良 | 軸受(ベアリング)交換 | ||
モーター内部から異音 | 回転子・固定子間へ異物混入 | 分解清掃 | |
振動が大きい | 芯出し不良 | 芯出しやり直し | |
モーター取付不完全 | 取付状態チェック | ||
ブラシの摩擦が速い | 整流不良 | 振動が大きい | 振動原因排除 |
コイル断線・レヤーショート | モーター交換・コイル捲替修理 | ||
過負荷 | 負荷見直し | ||
冷却不足 | 冷却ファン調査、清浄な通風 | ||
整流子荒損 | 整流子削正 | ||
ホルダーバネ圧不良 | バネ圧確認、調整 | ||
ブラシ材質不適切 | 複数メーカー併用 | 同一メーカーへ変更 | |
使用条件不適切 | 条件に適した材質に変更 | ||
モーター発熱する | 冷却不良 | 周囲温度が高い | 周囲温度調整、周囲温度に適したモーターに変更 |
モーター外扇に塵・埃が堆積 | モーター外部清掃 | ||
過電流 | ブラシ接触不良 | ブラシ点検、摺合せ調整 | |
コイル断線・レヤーショート | モーター交換・コイル捲替修理 | ||
軸受(ベアリング)スラスト肥大化 | スラスト再調整 | ||
軸受(ベアリング)不良 | 軸受(ベアリング)交換 | ||
過負荷 | 負荷削減 | ||
回転ムラが大きい | 電流変動 | コイル断線・レヤーショート | モーター交換 |
軸受(ベアリング)不良 | 軸受(ベアリング)交換 | ||
負荷変動 | 負荷点検 | ||
コントローラ不良 | コントローラの再調整・交換 | ||
回転が高い | 電圧不良、周波数不良 | 出力電圧不良 | 電圧を診断 |
コントローラ不良 | コントローラ再調整・交換 | ||
回転が遅い | モーターコイル異常 | コイル断線・レヤーショート | モーター交換 |
集電装置(2次側)異常 | 接触不良、装置不具合 | ブラシホルダー周り点検・修理・部品交換 | |
過電流 | モータートルクが少ない | モーター再選定、交換 | |
電圧不良、周波数不良 | 出力電圧不良 | 電圧を診断 | |
コントローラ不良 | コントローラの再調整・交換 | ||
負荷が大きい | 軸受(ベアリング)不良 | 軸受(ベアリング)交換 | |
過負荷 | モーター容量変更・負荷削減 | ||
機械(負荷側)の調査、改善 | |||
モーターが回転しない | 電圧が印加されない | コントローラ不良 | コントローラ再調整・交換 |
ヒューズ溶断 | ヒューズ容量再検討 | ||
始動回路不良 | 回路チェック | ||
保護回路動作 | 保護回路リセット | ||
電流が流れない | コイル断線 | モーター交換・コイル捲替修理 | |
ブラシ入れ忘れ・接触不良 | ブラシを正しく装着 | ||
負荷が大きい | 負荷のロック | 負荷点検・見直し | |
軸受(ベアリング)不良 | 軸受(ベアリング)交換 | ||
ブレーキ閉鎖 | ブレーキ回路チェック・ブレーキ交換 | ||
過電流 | コイル断線・レヤーショート | モーター交換、・コイル捲替修理 | |
負荷のロック | 負荷点検・見直し | ||
軸受(ベアリング)不良 | 軸受(ベアリング)交換 | ||
ブレーキ閉鎖 | ブレーキ回路チェック・ブレーキ交換 | ||
ブレーカーが落ちる | コイル断線・レヤーショート | モーター交換・コイル捲替修理 | |
絶縁不良 | ブラシホルダー周り清掃・交換 | ||
モーター交換・コイル捲替修理 |
それでは、それぞれのトラブルに対して具体的な対策・オーバーホール・メンテナンス方法を見ていきましょう。
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1.振動不良
まず、モーターの振動不良のトラブルが考えられます。その場合、
・コントローラの不良
・軸受(ベアリング)不良
・ブラケットケーシングの不良
・回転子バランスの不良
・回転子軸の不良
等の状況が考えられ、
それぞれの状況に対する原因と対策は以下のように考えられます。
コントローラの不良
コントローラの不良が発生している場合、対策としてコントローラの再調整や交換を行います。
軸受(ベアリング)不良
原因としては、軸受(ベアリング)の劣化・摩耗によるガタツキやキズなどの異常が考えられます。
軸受(ベアリング)から異音が発生しているかを確認し、軸受(ベアリング)の交換を行う必要があります。
ブラケットケーシングの不良
原因として、軸受(ベアリング)の嵌め合い部が摩耗していることが挙げられます。
そのため、ケーシング加工修理(プッシュ加工、溶射加工)を行います。
また、可能であれば、軸の交換を行います。
回転子バランスの不良
バランス不良が原因として考えられ、対策としてバランスの再調整を行う必要があります。
回転子軸不良
原因として、軸受(ベアリング)の嵌め合い部が摩耗していることが挙げられます。
そのため、軸加工修理(溶射加工)を行います。
また、可能であれば、軸の交換を行います。
2.異音・騒音がする
2つ目にモーターからの異音・騒音のトラブルが考えられます。その場合、
・ブラシ・整流子の不良
・軸受(ベアリング)の不良
・モーター内部から異音
・振動が大きい
等の状況が考えられ、
それぞれの状況に対する原因と対策は以下のように考えられます。
ブラシ・整流子不良
原因としては、ブラシの材質の選定ミスや整流子の荒損が考えられます。
そのため、ブラシの材質を交換、もしくは、整流子の削正を行います。
軸受(ベアリング)の不良
原因としては、軸受(ベアリング)の焼き付けやボール表面の傷、潤滑不良が考えられます。
そのため、軸受(ベアリング)を交換する必要があります。
モーター内部からの異音
原因として、回転子と固定子間への異物の混入が想定されます。
そのため、分解清掃を行い異物を取り除きます。
振動が大きい
原因として、芯出し不良やモーターの不完全な取付が考えられます。
そのため、芯出しのやり直しや、取付状態のチェックを行います。
3.ブラシの摩耗が速い
3つ目にモーターからの異音・騒音のトラブルが考えられます。その場合、
・整流不良
・ブラシ材質が不適切
等の状況が考えられ、
それぞれの状況に対する原因と対策は以下のように考えられます。
整流不良
原因として、振動が過大、コイルの断線及びレヤーショート、過負荷、冷却不足、整流子の荒損、ホルダーバネ圧の不良などが考えられます。
そのため、振動については振動の原因の排除、コイルについてはモーター交換やコイル捲替修理、過負荷については負荷の見直し、冷却不足については冷却ファンの調査や清浄な通風、整流子の荒損については整流子の削正、ホルダーバネあるについてはバネ圧の確認や調整を行います。
ブラシ材質が不適切
原因としては、複数のメーカーを併用していることや、不適切な使用状況等が考えられます。
そのため、同一メーカーへの変更や条件に適した材質への変更を行います。
4.モーターが発熱する
4つ目にモーターからの発熱のトラブルが考えられます。その場合、
・冷却不良
・過電流
等の状況が考えられ、
それぞれの状況に対する原因と対策は以下のように考えられます。
冷却不良
原因としては、周囲温度が高いことやモーター外壁に塵・埃の堆積等が想定されます。
そのため、周囲温度の調節や周囲温度に適したモーターへの変更、モーターの外壁の清掃を行います。
過電流
原因としては、ブラシの接触不良やコイルの断線・レヤーショート、軸受(ベアリング)スラストの肥大化、軸受(ベアリング)不良、過負荷等が考えられます。
そのため、ブラシについてはブラシ点検や摺合せ調整を行います。
コイルについては、モーター交換やコイル捲替修理を実施します。
軸受(ベアリング)スラストの肥大化についてはスラストの再調整、軸受(ベアリング)不良については軸受(ベアリング)の交換を行ってください。
また、過負荷については、負荷を定格以下まで減らすか、負荷にあったモーターへ交換してください。
5.回転ムラが大きい
5つ目に回転ムラが大きくなるトラブルが考えられ、その場合、電流が変動していることが状況として想定されます。
電流が変動する要因としては、コイルの断線やレヤーショート、軸受(ベアリング)不良、負荷変動が挙げられます。
そのため、モーターの交換や軸受(ベアリング)交換、負荷点検などを行い対応します。
6.回転が高い
6つ目に回転が高くなるトラブルが考えられます。
その場合、電圧不良・周波数不良が状況として想定され、出力電力の不良やコントローラの不良が要因として挙げられます。
したがって、電圧を診断し、コントローラの再調整や交換を行います。
7.回転が遅い
7つ目に回転が遅くなるトラブルが考えられます。その場合、
・モーターコイル異常
・集電装置(2次側)の異常
・電圧不良・周波数不良
・負荷が大きい
等の状況が考えられ、
それぞれの状況に対する原因と対策は以下のように考えられます。
モーターコイル異常
原因として、コイルの断線やレヤーショートが考えられます。
そのため、モーターの交換やブラシホルダー周りの清掃や交換を行うことで対策します。
集電装置(2次側)の異常
原因として、接触不良や装置の不具合が考えられます。
そのため、ブラシホルダー周りの点検や修理、部品交換を行います。
電圧不良・周波数不良
原因として、出力電圧の不良やコントローラの不良が想定されます。
そのため、電圧の診断やコントローラの再調整及び交換を行います。
負荷が大きい
原因としては、軸受(ベアリング)不良や過負荷が考えられます。
そのため、軸受(ベアリング)の交換やモーターの容量変更及び負荷削減を行い対策します。
8.モーターが回転しない
8つ目に回転が遅くなるトラブルが考えられます。その場合、
・電圧が印加されない
・電流が流れない
・負荷が大きい
・過電流
・ブレーカーが落ちる
等の状況が考えられ、
それぞれの状況に対する原因と対策は以下のように考えられます。
電圧が印加されない
原因としては、コントローラの不良やヒューズの溶断、始動回路の不良、保護回路の動作が想定されます。
そのため、コントローラ不良については、コントローラの再調整及び交換を行います。
ヒューズの溶断についてはヒューズ容量を再検討し、新しいヒューズと交換してください。
始動回路の不良については回路のチェック、保護回路については保護回路のリセットを実施します。
電流が流れない
原因としては、コイルの断線やブラシの入れ忘れ・接続不良が考えられます。
そのため、コイルの抵抗値や絶縁抵抗値を測定し、コイルの状態を確認してください。
そして、モーターの交換やコイル捲替修理を行い対策します。
また、ブラシについては、ブラシを正しく装着することで対処します。
負荷が大きい
原因としては、負荷のロックや軸受(ベアリング)不良、ブレーキの閉鎖が想定されます。
そのため、負荷の点検や見直し、軸受(ベアリング)の交換、ブレーキ回路のチェック及び交換を実施します。
過電流
原因としてコイルの断線・レヤーショートや負荷のロック、軸受(ベアリング)の不良、ブレーキ閉鎖が想定されます。
まずコイルについては、コイルの抵抗値や絶縁抵抗値を測定し、コイルの状態を確認してください。
その上で、モーター交換やコイル捲替修理を行います。
また、負荷のロックについては負荷の点検及び見直し、軸受(ベアリング)不良については軸受(ベアリング)の交換、ブレーキ閉路についてはブレーキ回路のチェック及び交換を実施します。
ブレーカーが落ちる
原因として、コイルの断線・レヤーショートや絶縁不良が想定されます。
そのため、コイルの抵抗値や絶縁抵抗値を測定し、コイルの状態を確認してください。
その上で、モーター交換やコイル捲替修理を行います。
また、ブラシホルダー周りの清掃及び交換を行います。
いかがでしたでしょうか。
このように、モーターのトラブルには様々な要因が考えられ、オーバーホールをはじめとして要因ごとに最適な対策を取る必要があります。
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