絶縁低下した運搬車両用の直流モーター(DCモーター)の整備
栃木県の石灰採掘・製造・販売業者様からのご依頼でした。
トロッコ電車走行用のDCモーターが絶縁不良となり、走行ができなくなってしまいました。
弊社にて絶縁回復、整備を実施し、試運転の後、納入いたしました。
栃木県のお客様より、石灰原料運搬用トロッコ電車が走行が出来なくなったとご連絡を頂きました。
顧客により調査を行った結果、走行するための動力源であるDCモーターの絶縁不良が判明しました。
トロッコ電車の台車からDCモーターを外し当社への持ち込み、調査を行うことになりました。
同顧客においては以前から他のモーターのメンテナンスを複数、行っております。
トロッコ電車の走行する環境は非常に悪い(採掘場)ため、DCモーターの異常に気が付きずらいとの事。(湿気、粉塵、暗い等)
定期点検の機会も少なく、異常に気が付きにくく、使用頻度も高いためなかなか長期にわたり停止することができないため、定期点検を行う機会を設けることも難しい状況でした。
分解・調査の結果、DCモーターの回転子(アマチア)、固定子(枠)両方の絶縁低下を確認しました。
回転子、固定子共に洗浄・乾燥により絶縁抵抗値の上昇が見られました。
回転子については当社で行う通常の整備(整流子削正・アンダーカット、バランス調整)に加え、C側(整流子)、反C側のガラスバインド捲替を実施しました。
回転子はコイルが複雑に組み込まれている為、隙間ができやすい構造となっています。
特に絶縁物の経年劣化により隙間が広がり、カーボンダスト等が詰まり絶縁低下を招きます。
その部分の清掃を行い新たに絶縁物(ガラスバインド)を捲き直すことにより予防することができます。
固定子については洗浄乾燥後に絶縁低下部(主極、亘り線等)の絶縁物更新を行い、仕上げ用のワニス塗装を施しました。
その後はベアリングの新品交換等を含む、組立作業を行い、試運転後、顧客に報告・納入となりました。
トロッコ電車の運用の関係で時間をかけた定期点検を行うことが難しく、何か現象がおきなければメンテナンスを行うことが難しい設備であります。
今回の事象は突然起きるものではなく、長年の汚れ等が蓄積されることにより引き起こされました。
電動機のメンテナンスを提案し突然の設備停止による損害を防げるようにすることが出来ればと思います。
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