コラム - メンテナンス
電動機(モーター)の振動値調査
皆さまこんにちは。
今回は、モーターの異常早期発見や予防保全のために大切な振動値調査についてご紹介します。
電動機(モーター)の振動値調査とは?
電動機(モーター)の振動値調査とは、電動機が運転中に発生する振動の大きさを測定し、その状態を評価・診断することです。これにより、電動機の異常の早期発見、原因究明、そして適切な保守・管理に繋げることができます。
電動機の振動値調査の3つの目的
異常の早期発見と原因究明
振動は、電動機の内部部品の摩耗、損傷、不均衡、据え付け不良など、様々な異常の初期症状として現れることがあります。振動値を定期的に測定・監視することで、これらの異常を初期段階で検知し、大きな故障や事故を未然に防ぐことができます。
振動の特性(周波数、振幅、方向など)を分析することで、異常の原因を推定することができます。例えば、アンバランスによる振動、ベアリングの損傷による振動、ミスアライメント(軸芯ずれ)による振動など、原因に応じた特有の振動パターンが現れます。
状態監視と傾向管理
振動値を継続的に記録し、その変化の傾向を管理することで、電動機の劣化状態を把握し、適切なメンテナンス時期を予測することができます。これにより、計画的な保守が可能となり、突発的な故障による生産停止のリスクを低減できます。
品質管理と安全性確保
電動機製造時や修理後の品質検査の一環として、振動値が規定の範囲内にあるかを確認します。過大な振動は、電動機本体だけでなく、周辺機器や構造物にも悪影響を及ぼし、安全上の問題を引き起こす可能性があります。振動値を適切に管理することで、安全な運転環境を維持します。
電動機の振動を引き起こす主な要因
電動機の振動には、主に以下のような原因が考えられます。
①ローター(回転子)のアンバランス
ローターの重心と回転軸が一致していない状態、すわなちローターの質量分布が不均一な状態
②ミスアライメント(芯ずれ)
電動機の軸と被駆動機(ポンプやファンなど)の軸の中心がずれている状態
③ベアリングの経年劣化
ベアリングが、摩耗、損傷、潤滑不良など劣化している状態
④軸(シャフト)が曲がっている又は折れている
電動機の軸自体が曲がっている、または折れている状態
⑤電磁気的な原因
巻線の層間短絡や鉄心の偏心など、電気的な不平衡が生じている状態
⑥共振
電動機の運転周波数と、電動機自身や周辺構造物の固有振動数が一致し、振動が著しく増大してしまう現象
⑦外部からの振動
周辺機器や配管などからの振動が伝播して発生する
振動測定の方法
一般的に、振動センサー(加速度ピックアップ、速度ピックアップ、変位ピックアップなど)を電動機の軸受部など、振動を検知しやすい箇所に取り付けて測定します。測定された振動データは、振動計やFFTアナライザなどの測定器で解析され、振動の大きさ(振幅)、周波数、位相などが評価されます。
測定する振動のパラメータ
測定する振動のパラメータとしては、主に以下のものがあります。
- 変位:振動の揺れの幅(例: μm p-p)
- 速度:振動の速さ(例: mm/s)
- 加速度:振動の勢い(例: m/s²)
どのパラメータで評価するかは、振動の原因や周波数帯域、管理基準などによって異なります。
昭和電機による振動値調査
当サイトを運営する昭和電機(本社・栃木県佐野市)は、電動機の振動値調査を年間数十件以上行っております。
電動機は、異音や発熱、振動、回転不良といった目立った異常が出てからでは、修理費用が大きくかさんでしまう場合が少なくありません。そのため、定期的に振動値調査を行い、こまめに点検・整備されることをオススメします。
当社では、異音・発熱調査とセットで振動値調査を行い、設備保全の担当者様に以下のような振動値調査報告書をご提出しております。
電動機の振動値調査・定期点検をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。